医療法⼈社団 中成堂⻭科医院 | ⼤正時代から埼⽟県川越市にある⻭科医院

診療時間

息子の抜歯をして思い出したこと

2003.02.24 ブログ
 
ある日曜日。「お父さん。歯を抜いてよ!」と息子(5歳)が訴えてきました。確かに一本残っていた前歯も数日前より、グラグラし始め、少し前に出てきたことを本人も気にしていました。そこで、休日の午前中に息子と二人、誰もいない静かな診療室に行き、歯を抜きました。息子は泣くこともなく、こちらが拍子抜けするくらい、冷静に処置を終了しました。その後、抜歯を終えてほっと一息ついた私の脳裏には、幼い頃、亡き祖父に歯科治療を受けていた自分の姿が浮かび上がってきました。
「痛ってぇんだよー!ヤブ医者!!」などと泣き叫びながら、深夜に治療を受けていた悪たれ小僧。それが5歳の私の恥ずかしき姿でした。確か、夜布団のもぐり込んだ後、歯が痛くて眠ることができなかった私は、歯科医であった祖父に何とかしてもらおうと思い、涙目でお願いして診てもらったはずです。薬品の臭いがほのかに残る夜の診療室に行き治療が始まると、前述の傍若無人な暴れん坊将軍状態になってしまったと記憶しております。そんなどうしょうもない私の歯の処置を行い、痛みをとってくれた祖父に対しては感謝の気持ちで一杯です。また、歯科医になった現在、そうした過去の事実を思い出すと、穴があったら入りこんで、その記憶が忘却の彼方に消え去るまでじっとしていたい気分です。しかしながら、そういったわけにもいかず、息子の抜歯の際の立派な姿を見せつけられた今、歯科医師として、親として、さらには人間として少しでも成長できるように自己研鑽を重ね、鍛錬していかねばならぬと強く思った次第であります。